老人ホームの費用はいくらかかる?月額費用と負担を考えるポイント

老人ホームの費用について、書類と電卓を見ながら確認する40代女性

親の老人ホーム探しで、避けて通れないのが費用の問題です。

「毎月いくらかかるの?」「親の年金だけで支払える?」「入居時にまとまったお金は必要?」

私自身も、認知症がわかった親のことを考える中で、施設の種類だけでなく、費用の仕組みも複雑なことを知りました。

老人ホームの費用は、施設の種類や地域、居室、介護サービスの利用状況によって大きく異なります。月額利用料だけを見て決めると、後から別の費用が必要になることもあります。

結論からいうと、老人ホームを選ぶときは、表示されている月額費用だけでなく、入居時費用や介護保険の自己負担、医療費などを含めて考えることが大切です。

この記事では、老人ホームや介護施設にかかる費用の目安と内訳、親の年金で支払えるか確認する方法、費用を比較するときのポイントを紹介します。

読み終わるころには、施設の料金表を見るときに確認したい項目がわかり、親や家族に合った施設探しを始められるようになります。

この記事でわかること
  • 老人ホームにかかる主な費用
  • 施設の種類ごとの費用の目安
  • 月額利用料以外にかかるお金
  • 親の年金で支払えるか確認する方法
  • 費用を抑えるために確認したい制度
目次

老人ホームにかかる主な費用

老人ホームや介護施設にかかる費用は、入居時にかかる費用、毎月かかる費用、介護保険サービスの自己負担、医療費や日用品などの費用に分けて考えるとわかりやすくなります。

施設によっては、これらの費用が月額利用料に含まれている場合もあります。ただし、すべての費用が含まれているとは限らないため、料金表を見るときは、金額だけでなく何が含まれているのかを確認しましょう。

入居時にかかる費用

入居時にかかる費用には、入居一時金や敷金などがあります。

入居一時金は、入居後の家賃などの一部を前払いする費用です。施設によっては、数十万円から数百万円以上かかる場合があります。一方で、入居一時金が不要な施設もあります。

入居一時金が必要な場合は、何のための費用なのか、償却期間は何年なのか、途中で退去した場合に返金されるのかを確認しておきましょう。長期入院や死亡時の扱いも、契約前に確認が必要です。

入居一時金が0円でも、月額費用が高めに設定されていることがあります。初期費用だけでなく、数年分の月額費用を含めた総額で比較することが大切です。

施設の種類ごとの費用の目安

老人ホームや介護施設の費用は、施設の種類によって大きく異なります。

以下は全国の一般的な目安です。地域や居室のタイプ、サービス内容によって変わるため、実際の料金は各施設に確認してください。

施設の種類によって費用には幅がありますが、厚生労働省の令和元年度調査によると、介護付きホームの平均月額費用は約22万7,000円でした。これは介護保険の利用料を含まない金額です。実際に必要な費用は、施設の種類やサービス内容によって変わるため、目安として考えましょう。

スクロールできます
施設の種類入居時費用の目安月額費用の目安
特別養護老人ホーム原則0円約6万〜15万円
介護老人保健施設原則0円約8万〜15万円
介護医療院原則0円約8万〜15万円
介護付き有料老人ホーム0円〜数千万円約15万〜30万円以上
住宅型有料老人ホーム0円〜数百万円約10万〜20万円
サービス付き高齢者向け住宅敷金が中心約8万〜20万円
グループホーム0円〜数百万円約10万〜16万円

※費用は地域や施設、居室のタイプ、サービス内容によって異なります。サ高住の入居時費用は敷金が中心で、前払い家賃などが必要な場合は物件ごとに確認しましょう。

特別養護老人ホーム

特別養護老人ホームは、常に介護が必要な人を対象とした公的な施設です。

入居一時金は原則としてかからず、月額費用も比較的抑えられています。新たに入居する場合は、原則として要介護3以上が対象です。地域や施設によっては、入居まで待つこともあります。

費用には、介護サービス費の自己負担、居住費、食費、日常生活費などが含まれます。居室のタイプによっても費用が異なるため、料金表を確認しましょう。

介護老人保健施設

介護老人保健施設は、在宅復帰を目指してリハビリテーションや介護を受ける施設です。

病院を退院した後、自宅での生活に戻るための準備として利用されることもあります。入居一時金は原則としてかかりませんが、長期間暮らし続けることを前提とした施設ではありません。

入居できる期間や、退所後の生活について、あらかじめ施設へ確認しておきましょう。

介護医療院

介護医療院は、長期的な療養や介護が必要な人を対象とした施設です。

日常生活の介護だけでなく、継続的な医療ケアが必要な人にも対応しています。医療や介護の必要度によって費用が変わることがあるため、親に必要な医療的ケアを整理してから相談するとスムーズです。

医療機関との連携や看取りへの対応など、親に必要な医療を受けられるかも確認しておくと安心です。

介護付き有料老人ホーム

介護付き有料老人ホームでは、施設の職員から介護サービスを受けられます。

介護サービス費は、要介護度に応じた定額制になっていることが多く、毎月の費用を見通しやすい点が特徴です。

一方で、入居一時金や月額費用は施設によって幅があり、比較的高額な施設もあります。家賃、管理費、食費、介護サービス費、水道光熱費、おむつ代などが月額利用料に含まれているか確認しましょう。医療費や通院時の付き添い費用が別途必要になる場合もあります。

住宅型有料老人ホーム

住宅型有料老人ホームは、食事や生活支援サービスを受けながら暮らす施設です。

介護が必要になった場合は、外部の訪問介護やデイサービスなどを利用します。利用する介護サービスが少ないうちは費用を抑えられる場合がありますが、介護サービスを多く利用すると、月額費用が高くなることがあります。

現在の費用だけでなく、要介護度が上がった場合の費用も確認しておきましょう。

サービス付き高齢者向け住宅

サービス付き高齢者向け住宅は、高齢者が暮らしやすいように配慮された賃貸住宅です。

安否確認や生活相談などのサービスを受けられますが、介護サービスは必要に応じて外部の事業者と契約します。

一般的なサ高住では、入居時費用として敷金が必要になることが多く、家賃の2〜3か月分程度に設定されている場合があります。物件によっては、敷金が不要な場合や、家賃の前払い方式を採用している場合もあります。

「サ高住だから安い」とは限らないため、家賃や共益費だけでなく、生活支援サービス費や介護サービス費も含めて、実際に毎月いくらかかるのかを確認しましょう。

グループホーム

グループホームは、認知症のある人を対象とした少人数制の施設です。

家庭に近い環境で、職員のサポートを受けながら生活します。原則として、施設がある市区町村に住民票がある人が対象です。

入居一時金や月額費用は施設によって異なります。認知症の進行や医療的ケアが必要になった場合の対応についても確認しておきましょう。

月額利用料以外にかかる費用

老人ホームに入居すると、月額利用料以外にも費用がかかることがあります。

医療費として、病院の診察代、薬代、訪問診療の費用などが必要になります。おむつ代も、月額費用に含まれている施設と別途必要な施設があります。

そのほか、衣類や洗面用品などの日用品費、理美容代、通院や外出の付き添い費用がかかる場合もあります。

退去時には、居室の原状回復費用や荷物の処分費用が必要になることもあります。施設への入居が決まると、実家に残る家具や家電の処分が必要になる場合もあるため、早めに方法を確認しておくと安心です。

家具や家電の処分方法については、こちらの記事で詳しく紹介しています。
実家の家具・家電はどう処分する?

年金で払えるか確認する方法

老人ホームの費用を考えるときは、月額費用と親の年金を比べるだけでは不十分です。

まず、年金や不動産収入など、親の毎月の収入を確認します。年金は、実際に振り込まれている金額で確認すると間違いがありません。

次に、施設入居後も必要になる医療費や日用品費、自宅の維持費などを整理します。施設の月額利用料に、介護保険の自己負担や医療費などを加えて、実際の支出を考えましょう。

たとえば、親の年金が月15万円、施設の月額利用料が13万円、介護保険の自己負担が1万8,000円、医療費や日用品費が1万円の場合を考えてみます。

毎月の支出は、施設の月額利用料13万円に介護保険の自己負担1万8,000円、医療費と日用品費1万円を加えた15万8,000円です。

年金が月15万円なら、毎月8,000円不足します。1年間では9万6,000円、5年間では48万円を貯金などから補う計算です。

これは考え方を整理するための一例で、実際の費用は施設や要介護度によって変わります。現在の費用だけでなく、介護度が上がった場合に支払いがどう変わるのかも施設へ確認しておきましょう。

公的年金には、主に国民年金と厚生年金があります。ただし、年金の種類だけで支払えるかどうかが決まるわけではありません。実際の受給額や貯金、施設に入居した後も必要になる医療費や日用品費などを含めて考える必要があります。

国民年金のみの場合は、施設費用との差額を貯金などから補うことになる場合もあります。厚生年金を受け取っている場合でも、施設の種類や介護サービスの利用状況によっては不足する可能性があります。まずは、実際に振り込まれている年金額を確認しましょう。

費用を抑えられる制度

費用の負担が大きくなりそうな場合は、利用できる制度がないか確認しましょう。

特別養護老人ホームや介護老人保健施設などでは、所得や預貯金などの条件を満たすと、居住費や食費の負担が軽くなる「負担限度額認定」を利用できる場合があります。

また、介護保険サービスの自己負担額が所得区分ごとの上限を超えた場合は、「高額介護サービス費」の対象になることがあります。

介護サービス費や医療費の一部が、医療費控除の対象になる場合もあります。対象になる費用や条件は複雑なため、確定申告の前に税務署などへ確認すると安心です。

年金や貯金だけで費用をまかなうのが難しい場合は、生活保護や、社会福祉法人による利用者負担軽減制度の対象になる可能性もあります。利用できる制度や条件は自治体によって異なるため、早めに市区町村の相談窓口や地域包括支援センターへ相談しましょう。

費用比較のポイント

費用を比較するときは、表示されている月額費用だけで判断しないようにしましょう。

入居一時金がある施設とない施設を比べるときは、1年分、3年分、5年分など、入居期間を決めて総額を計算します。

また、介護保険の自己負担、医療費、おむつ代、日用品費、通院の付き添い、外出や買い物の支援、理美容代などが別途必要か確認しましょう。

病状が変わった場合や長期入院になった場合に住み続けられるか、退去時に費用がかかるかも確認が必要です。入居一時金がある場合は、退去時の返金についても契約前に確認しておきましょう。

1つの施設だけを見て決めるのではなく、同じ地域で複数の施設を比較すると、親に合う条件や無理のない費用の範囲が見えてきます。

費用に迷ったらプロに相談

ここまで費用の内訳や確認方法を紹介してきましたが、実際に「うちの場合、どのくらいの施設なら現実的なのか」を判断するのは簡単ではありません。

そんなときは、無料で施設探しを手伝ってもらえる相談窓口を利用するのも一つの方法です。

「シニアのあんしん相談室」では、宅建主任者や介護職経験者などの専門スタッフが、希望条件や予算に合わせて全国2,800以上の施設の中から候補を紹介してくれます。相談や資料請求はすべて無料です。

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まとめ:費用は総額で考える

ここまで見てきたように、老人ホームの費用は施設の種類やサービス内容によって大きく異なります。月額利用料だけでなく、入居時費用、家賃や居住費、管理費、食費、介護保険の自己負担、医療費、日用品費なども含めて、実際に必要な総額を確認しましょう。

親の年金や貯金で無理なく支払えるかを考え、介護度が上がった場合や長期入居になった場合の費用も見積もっておくと安心です。費用だけで決めるのではなく、親の状態や希望、必要な介護、家族がどこまで対応できるかも含めて、複数の施設を比較します。

老人ホーム探しで迷ったときは、地域包括支援センターや担当のケアマネジャー、市区町村の介護保険窓口などに相談できます。

施設の種類や選び方については、前回の記事でも詳しく紹介しています。
親の老人ホーム探しは何から始める?

費用やサービスを確認しながら、親と家族が無理なく暮らせる施設を探していきましょう。

参考にした公的サイト
厚生労働省「介護サービス情報公表システム」
厚生労働省「特定施設入居者生活介護について」
国土交通省「サービス付き高齢者向け住宅情報提供システム」

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この記事を書いた人

父の認知症をきっかけに、親の施設入居や空き家になった実家のことを考えるようになりました。

「親と実家、どうする?」では、実家の片付け、親の施設探し、これからのお金について、当事者として調べたことや経験をまとめています。

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