実家の物が増えていることに気づいても、いざ片付けようとすると、何から手をつければいいのかわからないものです。
帰省するたびに気になっていても、親にどう話せばいいのかわからない。家の中を見回しただけで、作業の多さに気が遠くなる。そんな人もいるのではないでしょうか。
実家の片付けで最初にすることは、すぐに物を捨て始めることではありません。
まずは、親が今も暮らしているのか、近いうちに施設へ入る予定があるのか、すでに空き家になっているのかを確認します。実家の状況によって、優先することも、片付けの進め方も変わるからです。
私も父の認知症をきっかけに、実家のことが突然、自分の問題になりました。
父が家を離れた後も、実家は手つかずのままです。片付けなければと思いながらも、家の中にある物の多さや、これからかかる費用を考えると、簡単には動けません。
この記事では、実家の片付けを始める前に確認したいことと、最初に手をつける順番を整理します。
読み終わった後には、次に実家へ行ったとき、何を確認して、どこから始めるかを決められるようになります。
実家の片付けは、次の6つの手順で進めると全体像をつかみやすくなります。

現在の状況を確認することから始める
同じ「実家の片付け」でも、親が暮らしている家と、誰も住んでいない家では進め方が違います。
まずは、実家が次のどの状態にあるかを確認しましょう。
親が今も実家で暮らしている
親が暮らしている家では、子どもの判断だけで物を捨てることはできません。
子どもから見れば不要な物でも、親にとっては、今も使っている物や大切な思い出かもしれないからです。
この場合は、家を空にすることよりも、親が安全に暮らせる状態を作ることを優先します。
例えば、
- 玄関や廊下に置かれた物を減らす
- 床に積まれた物を移動する
- よく使う物を取りやすい位置に置く
- 壊れた家電や明らかなゴミを確認する
といった、生活に必要な場所から整えていきます。
親が物を捨てることに抵抗を感じている場合は、片付けを始める前の話し方も大切です。親が物を捨ててくれない理由や、揉めにくい伝え方はこちらの記事で紹介しています。
物が多くて通路がふさがっていたり、台所や床に物が積み上がっていたりする場合は、無理に一気に片付けようとせず、進め方を先に整理しておくと安心です。
→実家がゴミ屋敷になったら?親を責めずに片付ける方法
親の施設入居や転居が決まっている
施設への入居日や引っ越し日が決まっている場合は、期限から逆算して進めます。
最初に決めたいのは、実家にある物を捨てることではなく、親が新しい住まいへ持っていく物です。
日常的に着る服、薬、眼鏡、補聴器、写真、使い慣れた日用品など、施設での生活に必要な物から選びます。
その後で、
- 施設へ持っていく物
- 家族が保管する物
- 売却を検討する物
- 処分する物
- すぐに判断できない物
に分けていくと、作業を進めやすくなります。
まだ施設の種類や選び方に迷っている場合は、老人ホームの種類や選ぶときのポイントをこちらで確認できます。
→親の老人ホーム探しは何から始める?施設の種類と選び方
実家が空き家になっている
空き家の場合は、家の中の片付けだけでなく、郵便物、電気や水道、防犯、庭の管理なども確認しなければなりません。
家を今後どうするのか決まっていない場合でも、最初に次の点を確認します。
- 郵便物がたまっていないか
- 水漏れや雨漏りがないか
- 窓や玄関の鍵が閉まるか
- 通帳や権利証などが残っていないか
- 冷蔵庫の中に食品が残っていないか
- 近隣に迷惑がかかる状態になっていないか
家財をすべて処分するかどうかは、その後で考えます。
貴重品と重要書類を確認する
実家の片付けを始めるときは、家具や衣類を動かす前に、貴重品や重要書類の場所を確認します。
探しておきたいものには、次のようなものがあります。
お金・貴重品
預貯金通帳/印鑑/現金/貴金属
保険・年金・不動産などの書類
保険証券/年金関係の書類/不動産の権利証や登記識別情報/土地や建物に関する書類/契約書
鍵・連絡先
家や倉庫の鍵/親族や知人の連絡先が書かれた手帳
大切な書類が、封筒や紙袋、古い引き出しの中に紛れていることもあります。
中身を確認しないまま紙類をまとめて処分すると、後から必要な書類を探し直すことになりかねません。
見つけた物は1か所に集め、何がどこにあったかをメモしておきます。親が話せる状態であれば、保管場所を一緒に確認しておくことも大切です。
現金や通帳、印鑑、保険や不動産の書類など、先に探したい物と見つかりやすい場所は、こちらの記事で詳しくまとめています。
→実家の片付けで先に探すもの〜貴重品・重要書類の確認リスト
最初に片付ける場所を1か所決める
実家を見渡すと、押し入れ、台所、物置、納戸など、気になる場所がいくつも見つかります。
しかし、最初から家全体を片付けようとすると、物を移動させただけで時間がなくなってしまいます。
最初に手をつける場所は、1か所に絞ります。
親が暮らしている家なら、玄関や廊下など、安全に関わる場所を優先します。
空き家で、家族が片付けを始める場合は、次の作業に使える場所を確保すると進めやすくなります。
例えば、
- 玄関から一つ目の部屋までの通路
- 物を仕分けるための六畳ほどの空間
- 搬出に使う玄関周辺
- 明らかなゴミが多い場所
などです。
「今日は玄関だけ」「今回は押し入れの上段だけ」と範囲を決めておけば、途中で作業が広がりにくくなります。
実家の片付けにどのくらいの日数がかかるのか気になる場合は、物の量や通える回数も含めて、あらかじめ期間の目安を考えておくと予定を立てやすくなります。
→実家の片付けは何日かかる?期間の目安と進め方
実家の片付けは、一度で終わらせようとすると、体力だけでなく気持ちの負担も大きくなります。作業を始めても「もう疲れた」「しばらく片付けたくない」と感じたときは、進め方そのものを見直しても大丈夫です。
物は5つに分けて考える
片付ける場所を決めたら、物を一つずつ確認します。
最初から「捨てる・捨てない」の二択にすると、判断できない物が増え、親とも揉めやすくなります。
次の5つに分けて考えると整理しやすくなります。
①今も使う物
親が現在使っている物や、今後の生活に必要な物です。
親が暮らしている場合は、子どもの判断で場所を変えず、使いやすい位置を一緒に考えます。
②家族が残す物
写真、手紙、記念品、形見として残したい物などです。
家族によって残したい物が違うため、写真を撮って兄弟姉妹に確認する方法もあります。
③売却を検討する物
家具、家電、着物、食器、貴金属、趣味の道具など、まだ使える物は、処分する前に買取の対象になるか確認します。
ただし、売れるかどうかを一つずつ現地で調べていると、片付けが止まってしまいます。
売却を検討する物をまとめて写真に撮り、自宅に戻ってから査定方法を調べると、現地での時間を使いすぎずに済みます。
④処分する物
壊れている物、使用できない物、明らかなゴミなどです。
自治体によって、粗大ゴミの申し込み方法や回収日、分別のルールが違います。実家のある自治体のルールを確認してから、袋詰めや搬出を進めます。
タンスや食器棚、冷蔵庫、洗濯機など、大きな家具・家電の処分方法は「実家の家具・家電どう処分する?」で詳しくまとめています。
⑤今は決められない物
すぐに判断できない物は、保留にします。
ただし、保留する物を無制限に増やすと、次の片付けでも同じ判断を繰り返すことになります。
保留用の箱は一つに決め、箱に日付を書いておきましょう。次に実家へ行く日や、家族が集まる日にもう一度確認します。
現地でしかできないことを優先する
遠方の実家を片付ける場合は、限られた滞在時間を、現地でしかできない作業に使います。
実家で行うことは、次のような作業です。
- 家の状態を見る
- 親と話す
- 貴重品や重要書類を探す
- 物の写真を撮る
- 部屋の広さや大型家具のサイズを測る
- 搬出経路を確認する
一方、次の作業は自宅に戻ってからでもできます。
- 自治体の処分方法を調べる
- 買取サービスを調べる
- 片付け業者の費用を確認する
- 兄弟姉妹に写真を送る
- 次回の作業予定を決める
現地でスマートフォンを使って調べ始めると、それだけで時間が過ぎてしまいます。次回までに調べることをメモし、持ち帰れる判断は自宅に持ち帰る。この分け方が、遠距離の片付けでは重要になります。
遠距離の実家を片付ける場合は、現地ですることと自宅でできることを分けておくだけでも、帰省時の負担を減らせます。
→遠距離の実家を片付ける方法。通う回数を減らすコツ
家族で判断基準を共有する
実家の片付けでは、実際に作業する人だけでなく、物の処分を決める人も必要です。
近くに住む家族が片付けを担当し、遠方の兄弟姉妹が後から「それは残してほしかった」と言えば、関係が悪くなることがあります。
作業を始める前に、少なくとも次のことは共有しておきます。
- 誰が実家へ行くか
- どの場所から片付けるか
- 残したい物は何か
- 売却したお金をどうするか
- 業者に頼む場合、費用を誰が負担するか
- 家や土地を今後どうするか
口頭だけでは認識がずれることがあります。
家族のグループLINEなどに写真と決定事項を残しておくと、後から確認しやすくなります。
実家の片付けは、一人で進めるとは限りません。兄弟姉妹がいる場合は、誰が片付けるのか、費用をどう負担するのか、残しておきたい物はあるのかなど、始める前に話しておきたいことがあります。
→実家の片付けで兄弟姉妹と揉めないために先に決めておきたいこと7つ
家族だから考えが同じとは限りません。後から「聞いていない」「勝手に捨てられた」とならないよう、役割や費用、処分の判断について先に確認しておくと安心です。
業者への依頼を検討する
実家の物が多いからといって、すぐにすべてを業者へ依頼する必要はありません。
まずは、家族でできることと、依頼したほうがよいことを分けます。
業者への依頼を検討しやすいのは、次のような場合です。
- 大型家具や家電を運び出せない
- 物が多く、必要な期限までに終わらない
- 実家が遠く、何度も通えない
- 階段や床の状態に不安がある
- 家族だけでは分別や搬出が難しい
- 家の売却や解体までに空にする必要がある
業者へ頼む場合も、家全体を任せる方法だけではありません。
大型家具の搬出だけを依頼する、売却できる物を査定してもらう、家族で仕分けた後の処分だけを頼む、といった分け方もできます。
費用や対応範囲は業者によって違うため、依頼する前に複数の見積もりを比べます。
業者へ依頼する場合は、費用の目安や見積もりの内容、業者選びのポイントも確認しておきたいところです。
→実家の片付けを業者に頼む費用と選び方
まとめ:実家の片付けで確認すること
実家の片付けは、目についた物をすぐに捨てることから始めるのではありません。
最初に確認することを整理します。
- 親が暮らしているのか、施設入居前なのか、空き家なのかを確認する
- 貴重品と重要書類を探す
- 安全に関わる場所か、作業場所の1か所を決める
- 使う物、残す物、売る物、処分する物、保留する物に分ける
- 家族で判断基準と費用負担を共有する
- 自分たちでできない部分だけ、業者への依頼を検討する
次に実家へ行く日が決まっているなら、まずは「確認する場所を1か所」と「探す書類」をメモしておきましょう。
片付けを始める前の準備が決まれば、実家に着いてから何をするか迷わずに済みます。

