特養に申し込んだけれど、「いつ入れるんだろう」「何年も待つことになったら、その間どうすればいいの?」と不安になっていませんか?
特養は、申し込んだ順に入れる施設ではありません。待機期間も「全国平均で○か月」と決まっているわけではなく、地域や施設の空き状況、本人の介護状態、家族の状況によって大きく変わります。
だからこそ、ただ順番を待つのではなく、現在の申込状況を確認しながら、必要に応じて複数の特養への申し込みや、待っている間の介護サービス・施設も並行して考えておくことが大切です。
この記事では、厚生労働省の最新調査をもとに、特養の入所順位の仕組みや待機期間、少しでも早く入るためにできること、待っている間の過ごし方についてまとめました。
特養の入所順位は申込順ではない
特養は、早く申し込んだ人から順番に入所できるわけではありません。
入所申込者が定員を上回っている場合、介護の必要性や家族の状況などを考慮し、入所の必要性が高い人を優先する仕組みになっています。
ただし、全国一律の点数表があるわけではありません。具体的な評価方法や優先順位の決め方は、都道府県や市区町村、施設ごとの入所指針によって異なります。
一般的には、次のような事情が考慮されます。
- 要介護度の高さ
- 認知症の症状や行動の程度
- 医療的ケアの必要性
- 一人暮らしかどうか
- 同居家族の年齢や健康状態
- 家族による介護が難しい状況か
- 在宅サービスの利用状況
- 現在の住まいで生活を続けることが難しいか
例えば、介護者が高齢で十分な介護ができない、認知症で夜間に外へ出てしまうことが続いている、家族が病気になり在宅介護を続けられないといった場合は、緊急性が高いと判断されることがあります。
申し込み後に本人や家族の状況が変わったときは、申込先の施設や担当のケアマネジャーに必ず伝えましょう。
特養の待機期間に全国平均はある?
特養の待機期間について、「平均で何か月」と知りたい方は多いと思います。しかし、全国の特養を一律に比較した待機期間の平均は公表されていません。
特養の入所時期は、次のような条件によって変わります。
- 地域や施設の空き状況
- 申込者の要介護度や心身の状態
- 認知症の症状や医療的ケアの必要性
- 独居か、同居家族がいるか
- 家族の年齢や健康状態
- 現在の生活環境での緊急性
同じ地域の特養でも、数か月で案内が来る場合もあれば、数年待つ場合もあります。特に都市部では申し込みが集中しやすく、待機期間が長くなる傾向がありますが、地域や施設によって事情は異なります。
自分の場合の目安を知りたいときは、申込先の施設に次の点を確認してみましょう。
- 現在の申込順位や優先度
- 昨年度の入所者数
- 同じ要介護度の人が入所するまでの目安
- 申込内容を更新する必要があるか
- 空きが出たときの連絡方法
施設によっては具体的な順位を伝えられない場合もありますが、現在の状況や今後の見込みを聞いておくと、待っている間の計画を立てやすくなります。
特養の入所申込者数は減少傾向にある
特養の入所時期は人によって大きく異なりますが、入所を申し込んでいる人の数そのものは以前より減っています。
厚生労働省が公表した令和7年度の調査によると、2025年4月1日時点で、原則として入所対象となる要介護3以上の入所申込者数は全国で約20.6万人でした。
前回の2022年度調査では約25.3万人だったため、3年間で約4.7万人、率にすると約18%減少しています。このうち、自宅で生活しながら特養への入所を待っている人は約8.6万人です。
また、要介護1・2であっても、認知症や家族による虐待など、やむを得ない事情がある場合は特例的に入所対象となることがあります。こうした要介護1・2の申込者約1.8万人を合わせると、入所申込者数は約22.5万人です。
待機者数がピークだった2013年度は約52.4万人だったため、現在はピーク時の半分以下にまで減少しています。背景には、特養の整備が進んだことや、有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅など、特養以外の選択肢が増えたことがあると考えられます。
ただし、この数字には、長期間にわたって申込名簿に登録されている人も含まれています。厚生労働省は、複数施設への重複申込などを排除して実数に近づけるよう集計している一方、入所を希望する時期や条件、生活環境の変化などにより、すべての人が調査時点ですぐに入所を必要としているとは限らないとしています。
参照:厚生労働省「特別養護老人ホームの入所申込者の状況(令和7年度)」
特養に少しでも早く入るためにできること
特養への入所を確実に早める方法はありません。ただ、できることはあります。
複数の特養に申し込む
地域のルールを確認した上で、複数の特養に申し込む方法があります。申込先が増えれば、空きが出る施設に出会える可能性も高くなります。
ただし、施設によって申込方法や必要書類が異なる場合があります。遠方の施設では家族が通いにくくなるため、入所後の面会や通院の付き添いまで考えて、無理のない範囲で候補を選びましょう。
本人や家族の状況の変化を伝える
申し込み後に要介護度が上がった、認知症の症状が進んだ、介護者が病気になったなどの変化があれば、そのつど施設や自治体の窓口に伝えます。
申込時の情報のままになっていると、現在の緊急性が正しく反映されない可能性があります。診断書や要介護認定の変更など、必要な書類があるかも確認しておきましょう。
ケアマネジャーに相談する
担当のケアマネジャーは、地域の特養の空き状況や申し込みの流れ、待機中に利用できる介護サービスについて相談できる身近な専門職です。
今の介護状況をどのように伝えればよいか、特養以外に利用できる施設はないか、在宅介護を続けるために必要なサービスは何かを一緒に考えてもらいましょう。
空き状況や申込状況を確認する
施設によっては、電話や窓口で空き状況や今後の入所見込みを教えてもらえる場合があります。自治体が施設の空き情報を公開していることもあるため、市区町村の介護保険担当窓口や地域包括支援センターにも確認してみましょう。
私も父の施設を探したとき、何か所も電話をして空き状況を確認しました。できれば家から近く、家族がちょくちょく会いに行ける場所がよかったので、距離や通いやすさも大事な条件でした。
空きがあるかだけでなく、入所後に家族が無理なく通えるかまで考えて探しておくと、候補を絞りやすくなります。
特養を待っている間はどうする?
特養の入所時期が読めない場合は、ただ連絡を待つのではなく、今の介護状況に合わせて別の選択肢も並行して考えておくことが大切です。
特に、「家族だけで介護を続けるのが難しくなってきた」「退院期限が迫っている」など、今の生活を続けることが難しい場合は、早めにケアマネジャーや地域包括支援センターへ相談しましょう。
一時的な入居先を確保する
病院を退院した後、すぐに自宅での生活へ戻ることが難しい場合は、介護老人保健施設(老健)を利用しながら特養への申し込みを続けられる場合があります。
また、費用との兼ね合いはありますが、介護付き有料老人ホームなどへいったん入居し、特養に空きが出るまで待つ方法もあります。
一時的な入居先を探すときは、入居できる期間だけでなく、月々の費用や医療対応、特養への入所が決まった場合の退去条件まで確認しておくと安心です。
老人ホームや介護施設の違いについては、こちらの記事でまとめています。
→親の老人ホーム探しは何から始める?施設の種類と選び方
ショートステイを利用する
自宅での生活を続けられるものの、家族の介護負担が大きくなっている場合は、ショートステイを利用する方法があります。ショートステイは、数日間施設に宿泊しながら食事や入浴などの介護を受けられるサービスです。家族が仕事や用事で介護できないときだけでなく、介護者が休む時間を確保するためにも利用できます。
「まだ何とか自宅で介護できる」と無理を続けるのではなく、定期的に介護から離れる日を作ることも、長い待機期間を乗り切るためには大切です。
利用できる日数や空き状況は施設によって異なるため、早めに担当のケアマネジャーへ相談しておきましょう。
在宅サービスを見直す
特養へ申し込んだ当時より本人の介護度が上がったり、家族の負担が増えたりしている場合は、現在のケアプランが今の状況に合っているか見直してみましょう。
訪問介護、デイサービス、訪問看護などを増やしたり組み合わせたりすることで、自宅で過ごせる期間を延ばせることがあります。特に、「夜間の介護がつらい」「入浴介助が難しい」「一人になる時間が心配」など、何に困っているのかを具体的に伝えると、必要なサービスを検討しやすくなります。
「もう在宅介護は限界かもしれない」と感じている場合も、そのままケアマネジャーに伝えてかまいません。家族だけで抱え込まず、今後の生活も含めて相談しましょう。
特養以外の施設も並行して探す
特養の入所時期がわからない場合は、「特養から連絡が来るまで何もしない」のではなく、予算や本人の状態に合う施設を並行して探しておく方法もあります。
実際に空きが出たとき慌てて探し始めるよりも、どの地域なら通いやすいか、毎月いくらまでなら支払えるか、どの程度の介護や医療対応が必要かを家族で整理しておくと、選択肢を比較しやすくなります。
老健や有料老人ホーム、サ高住など、候補が多く自分たちだけでは比較しきれない場合は、老人ホームの紹介サービスを利用する方法もあります。
「シニアのあんしん相談室」は、希望する地域や予算、本人の状態などを伝えると、条件に合う施設を無料で探してもらえるサービスです。特養の結果を待ちながら、「もし今の生活を続けられなくなったら、次にどこへ行くか」まで考えておくと安心です。
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まとめ:待機中は別の選択肢も考えよう
特養の入所は申込順ではなく、本人の介護状態や家族の状況などを踏まえて優先順位が決まります。待機期間にも全国共通の平均はなく、地域や施設の空き状況によって大きく異なります。
入所申込者数は以前より減少していますが、希望する施設や本人の状況によっては、すぐに入所できるとは限りません。申し込み後に本人や家族の状況が変わったときは、施設や自治体、ケアマネジャーにそのつど伝えましょう。
また、複数の特養への申し込みを検討しながら、老健や介護付き有料老人ホーム、サ高住、在宅サービスなども並行して考えておくことが大切です。
特養の申し込みを考えている方は、見学の段階で確認しておきたいこともあります。施設の対応範囲や費用、医療体制などを比較し、家族が納得できる選択肢を探していきましょう。
→老人ホーム見学で確認したい7つのポイント





